Lovely Weather

"Lovely Weather!"

と今日、笑顔でお姉さんに声をかけられた。

 

一体、どんな状況かというと

凛奈をママチャリの後ろに乗せ、

南からの向かい風・強風(12km/h over)の雨のハドソンリバーで

視界不良で体もヘロヘロの夕方である。

その笑顔のお姉さん(マスクなし)には電動Citibikeで軽〜く抜き去られる。。

毎週4回のGymnasticsへの自転車での送り迎えの途中には

様々な出来事がこれまであったが、

こういう声かけが、NYならではで、

そのあとも何人からも

『頑張れ、とーちゃん』みたいにアイコンタクトを受ける。

おかげで萎えかけてた身体に少しチカラが入った。

 

でも、そのお姉さんの言う通り、

今日は天候が悪いから

いつもの10−20分の1くらいの人で

ほとんど走っている人はいなくて

79th Stあたりの紅葉で敷き詰められた

オレンジと黄色で一面の上り坂を

ほぼ自分たちで独占できる。

確かに今年1番の景色だった。

 

たった一言で、状況がパッと明るくなることは多い。

 

昨日はエレベーターの電光板が壊れてて

ボタンを押しても行きたい19階(マウス舎)に行くのかもわからず、

(19階のボタンもへたっててすでに押し込まれたまま)

同じ階に行くと言う隣のお姉さんに、

 

『上に行くのか下に行くのかわからないね、

村上春樹の小説で最初にこんな場面があるんだけど』って一言。

 

We don't know whether going up or down...

In Japan, a famous novel writen by Haruki Murakami has such a similar situation at the beginning...

 

"I know!!! Wonderland.. end of world something like that, right?"

"That's a nice example!"

 

そうして同じ19階でお互い笑いながら(マスクしてるけど)

Have a good day!とそれぞれ違う入り口から動物舎に入っていた。

浪人中に読んだ小説がこんなところで役に立つとは思わなんだ。 

 

読み直し:

『あのひとたちの背中』(重松清)

 

伊集院静

うちの母親が祖母から教わったことなんだ。男の子が三人いたら、一人は人を殺めたりする可能性がある、と。女の子を三人育てたら、一人ぐらいは体を売らなきゃいけない職業になる可能性がある。人が捕まって縄に掛かって「人殺し」と言われても絶対に石を投げてはいけない、それはお前の子供かもしれない、というのが我家の女の教えだったんだよ。

 

重松

それは単純な優しさとか博愛の精神を超えて、誰でも人殺しになりうるし、狂気を持ちうるという、人間という存在の本質を衝いているような…