p.59「ぼくは鈍感だから」

広中 ああ、ある程度なんていうか、素質もあるんじゃないかな、生まれついた性格とかね。ぼくなんかどちらかというと、生まれつき鈍感だからさ、それほど他人のことはあまり知らないわけだ。知らなくてもあまり気にならないから、のんびりできるっていう、そういう性格があるわけよね。だけど、ある人たちは、生まれつきかどうかわかんないけどさ、とにかくまあ見てると非常に神経過敏だよね、他人の成功に対してね。だからまあどこそこで、なにがあったっていったら、もうすぐワァワァ言うしさ。どこそこの国で、なんとかいう新しい理論ができてというと、それをもう知らないでいると不安でしょうがない。またある人はこの鈍感なぼくが見ても感心するくらい鈍感でさ、なにかしらんけど、自分一人で一生懸命こつこつとやっている。同じ問題をほかの人がやっているかどうかも知らない。だからほかの人にだしぬかれることも少なくない。だけどそういう人のつくる良い仕事は本当に良いね。流行に乗ってかっこう良くやっている人の仕事にない、独特のよさがあるね。

小澤 鈍才肌なんだ。

 

p.150「子どもへ伝えるもの」

広中 学校の先生からも相当影響される。だいたい学校の授業で習ったようなことはほとんど忘れちゃったけどさ、先生の性格とか、態度とか、出来事に対する反応の仕方とかね。